花の色は うつりにけりな いたづらに

BluePhobos2007-03-28

花の色は うつりにけりな いたづらに
 わが身世にふる ながめせしまに

http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/100i/009.html

この桜が開花する時期に、桜が一片散ってしまった。この桜は以前は綺麗な桜色をしていたけれど、もうすっかり色が変わってしまっているように見えた。その色というのは、見る人によっては煙のような灰色であったかも知れないし、墨のような黒色であったかも知れないし、夜空のような藍色であったかも知れない。個人的には、紫色に近い感じの色がしっくり来る。元気がない感じ。落ち込んでいる感じ。まだ花の色は残しつつも、少し色褪せたようでそうでないような。


色を徐々に明るくして、さぁこれから元の桜色に戻してゆこうというときに散ってしまった。暑い日も寒い日も雨の日も風の日も、色々な想いと共に過ごして来た日々が長過ぎたのか、辛過ぎたのか、それとも虚し過ぎたのか……。「晴れ 雨 のち スキ」 散ったこの桜の上空に広がっているのは晴れ?雨?のちスキ?……のちキライ?



過去のこの桜を振り返って見ると、それはもう見事な桜色をしていて満開である。そのときからは「未来」となる「今」の散りゆく姿などは想像出来ないほどに。この振り返る瞬間が楽しくもあり、辛くもある。自分の中に二人の自分がいる。過去の桜に酔いしれる自分と、過去の桜を記憶から消し去ろうとする自分。過去派と現在派(過去から見た未来派)。これは今回の桜に限らず、以前に散ったもう一片の小さな桜にも当てはまることだけれど……。もう一人いた。未来派。現在から見た未来派。来年の今頃はどんな桜が花開くのかな、という未来派の自分が楽しそう。ただ、今回のように散った桜を眺めるもう一人の未来派の自分がいるのも確か。「どんな花が(どういうふうに)散るのかな」と……。お願いだから、この自分はあまり現れんとっておくれ。