昭和の時代に来ても「昭和」になり切れない「平成」べりーず

BluePhobos2007-06-17

告白の噴水広場」は昭和歌謡風の曲調とよく表現されるが、映像の方も、その曲調に合わせるかのようにセピア調のフィルタがかかったような昭和風となっていることから、今回の曲のテーマはおそらく「昭和風」に的を絞ったものと言えるかも知れないなぁ、なんて PV を観て思ったりしてみた。タイトルも平仮名と漢字だけで構成されているしね。そう言えば、噴水の「噴」という漢字をすらすらと書けるメンバーは誰なんじゃい?ということも考えてみたりしてみた。それはそうと、Berryz工房たちが生まれていない昭和の時代にタイムスリッープ!ということで、欲を言えば、音源にレコードチックなアナログなノイズを織り交ぜていてくれれば、より昭和風になったのだけれど、さすがにそれは難しいのかな。ハロプロの楽曲としては面白い試みだとは思うけれど。さらに欲を言えば(欲張り)、光野道子のこんな曲調にトライしてもらえればもう昭和マスター間違いなし。ど、どんだけ〜。


さてさてこの曲には、セピア調という要素だけでなく、至るところに昭和を匂わせる要素を含んでいるということにも気付いた。例えば、カラオケ。桃子と佐紀が楽しく歌い、茉麻が歌本で曲を選ぶシーンがあるが、最近よくあるタッチパネルの付いたリモコンを操作しながら曲を探したり送信したりするシーンはない。リモコンが登場しないのである。そう、時代は媒体が紙の本を見て選ぶ時代。すなわち昭和。あと、制服に関しても、スカートは長めで、シャツの色も純白。ルーズソックスなんてすっとこどっこーい、ということでこれも昭和。そう言えば、最近ルーズソックスを見かけなくなったなぁ。あとは歌詞。ちょこっと歌詞を見てみたところ、外来語は「ピエロ」のみである。外来語を極力省いて歌謡曲にしようとする想いが、詩やタイトルに対して込められているのが見られる。


鼓動が響くわ 噴水の広場で  告白したけど 沈黙が続く
出逢ったあの頃 何も意識せずに  自然に遊んだ 放課後寄り道


偶然?計算?唇が触れた日  そうよ あれから 気になりすぎる


あなたが好き 胸が痛い  怖いけれど 打ち明けたの
友達には 戻れないわ  うなずいてよ


あなたはわざとに せきをしてごまかす  分かっていたはず わたしの本心
なんなの こんなの ダメならダメでいい  涙になりそう 沈黙は続く


路地の音が 夕空に轟く  二人 並んで 腰掛けたまま


苦しんでる あなたがいる  ごめんなさい 急すぎたわ
自分だけを 考えてた  わたしピエロ


あなたが好き 胸が痛い  怖いけれど 打ち明けたの
友達には 戻れないわ  あなたが好き


急にあなた 立ち上がって  わたしのこと 抱き締めたわ
あなたの鼓動 聞こえてくる  信じるわよ


ただ、この昭和風というテーマに唯一そぐわない要素がある。それは携帯電話である。梨沙子が鞄から取り出してメールを送り、そのメールを伝書鳩が運ぶというイメージのシーンがあるが、この携帯電話の存在がもはや平成である。昭和の中に眩い光で亀裂を入れる銀色の平成。個人的には、ここで携帯を取り出す演出はやめてほしかった。相手にメッセージを伝える手段は、昭和では断然手紙ったら手紙。鞄から手紙を取り出して想いを込めるかのように投函するシーンを映してほしかったなと。そう、「ギャグ100回分愛してください」の PV のような感じで。



携帯電話と言えば、「なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?」の PV にも出て来ていたっけ。メンバーが携帯を手にしてシリアスな表情を浮かべるシーン。この曲は振り付けの一部がパラパラチックで、PV も水色(のガラス調)をベースとした近未来的で、この曲こそ平成なのだと思う。ちょうど、「告白の噴水広場」の対極となる感じ。「なんちゅう〜」というタイトルを見ても、なんとなくね。あと、PV での宙に舞う薄さ 0.1 mm ぐらいの仮想的な液晶に皆が映し出される演出とかも。これは、平成の次、もしくは次の次、もしくは次の次の次……(endless) の年号か :p



上でも書いたことだけど、この曲は平成の時代を生きる Berryz工房を、彼女たちの知らない昭和の時代にタイムスリップさせてみようという試みが含まれていると思う。そんな試みの中のセピア調の空間の中では、昭和の時代に辿りついた Berryz工房の鞄の中には平成の時代の携帯電話があり、何気にその携帯を取り出して「えー、なんで圏外なのー?」とメンバー同士で不思議がって、携帯を高く持ち上げてみたり、携帯を見つめながらウロウロするような光景が広がりそうな気がして、とても興味深い。そういうところを見て、あぁやっぱり Berryz工房は「平成」なんだなぁと。携帯電話に依存する現代社会を間接的に表しているのかも知れない。


このセピア調の空間に安倍なつみが登場したとすれば、そのシーンは黒電話で話しているシーンにまず間違いない(笑) というのも、なっちはどことなく昭和の香りが……。ま、事実昭和の人間なのだけど。ちなみに、まっつーは昭和の香りではなく、「煮っ転がしの匂い」と言ってたっけ。