吉川友のアルバム「One for YOU!」が素晴らしい

BluePhobos2012-02-05

One for YOU!

One for YOU!

吉川友のアルバム「One for YOU!」を聴いたので感想でも。一言で言うと、多様なジャンルの楽曲により吉川友の多様で且つ幅の広い歌声が楽しめる素晴らしいアルバム、という感じで「聴かせる」のを重視したようなクォリティの高いものとなっている。編曲は michitomo 氏がほぼ全曲に渡って手掛けていて、特にクールさを際立たせるサウンドのイメージには統一感があってきっかワールド並びに michitomo ワールドにどっぷりと浸れるアルバムになっている。


所属元のハロプロとの絡みも何かと多い彼女だけど、ハロプロに多いアイドル楽曲とは一線を画した曲調という印象が強くて、ハロプロサウンドに慣れきった耳で聴くと些か映えなかったりインパクトが薄めな曲が多かったりするのかも知れないけれど、噛めば噛むほどのスルメ楽曲という点ではハロプロよりも強い感じで、聴く度に吉川友の新たな歌唱力や歌声などの魅力を再発見できるものとなっていると思う。未だに評価の高い松浦亜弥の「ファーストKiss」が好きでよく聴くのだけど、それに通ずるものがあると思う。


それでは何曲か簡単に感想を。

こんな私でよかったら (作詞/作曲:サカノウエヨースケ 編曲:michitomo)

宇多田ヒカルの「Addicted To You」を彷彿とさせるほどに A メロから B メロ、サビへと感情の高まりがダイレクトに伝わるメロディ構成が聴き入りやすい。サビの高音と低音の往来のメリハリが聴いていて気持ち良い。2 番 A メロの「冗談を言い合って 二人じゃれ合って」の箇所の「言い合・あ・って」「じゃれ合・あ・って」という連「あ」の歯切れが特に良くてここも気持ち良さのポイントかなと。サビ前後の突き抜けるような SE も手伝ってとにかく気持ち良い。広音域をしっかりと歌いこなせていて、きっかの新たな面と順応性に気付かされた楽曲。何回言うねーんて感じだけど何度でも言いますよ、とにかく気持ち良いのです。

ハコの中のブルー (作詞:大華奈央香 作曲:川崎里美 編曲:michitomo)

吉川友自身が推してる曲の一つで、タイトルからは想像できないアグレッシブな疾走感ロックという表現が当てはまりそうな曲。ハロプロだと Buono! の楽曲に近いかな。ロックのインストに女の子のボーカルが埋もれるリスクはエフェクトで回避しているお陰で聴きやすく、そのボーカルからもとにかくデジタル・スピーディ・クールというキーワードがしっくり来るカッチョエエ楽曲となっている。夜のドライブの BGM とかにピッタリの一曲で、休憩する間もなく一気に攻めるという S っ気が、または(吉川友に)攻められるという M っ気が擽られる一曲。

ありのままの I LOVE YOU! (作詞:大華奈央香 作曲:川崎里美 編曲:michitomo)

サイン会では上記「ハコの中のブルー」とこの曲を推し曲と言っていた本人お墨付きの曲第二弾。今度は切ない R&B 系で、シックとか大人っぽさがテーマかな。楽曲のイメージ的には宇多田ヒカルとか倉木麻衣に近い感じで、どことなく懐かしさが漂う。狼情報だとこのアルバムは特に音域が広いようで、この曲もそれが顕著な曲になっている。歌い手としての吉川友の実力がよくわかる曲なのかなと思う。また、花咲こべに時代はなかなかのハスキーな歌声だった記憶があるけど、成長するに連れてハスキーさが薄まって絶妙なバランスの透明感を成して来ているような気がしていて、そのバランスがある種の唯一性というか独特の気持ち良さ、心地良さを生み出している、天性みたいなものもあるのかもと思い始めている。

Knight Flight (作詞:大華奈央香 作曲:川崎里美 編曲:michitomo)

しっとり切ないバラード系。裏声含めてきっかの歌声を堪能するのはこの曲が良いかも。脳内イメージは髪が軽く靡く程度の微風と夜空、寒空、そんな感じ。タイムリーやね。切なくも優しい恋心が上述の気持ち良く心地良いきっかの声で歌われているということで、文章化するのが億劫になるぐらいの切ない世界観に酔いしれることができる。ヘッドフォン推奨ね。曲を聴いているときっかが歌っていることを一瞬忘却し、歌声や歌い方を聴き入ってすぐに思い出す、ということを何度か繰り返すほどに今までの楽曲および吉川友とのギャップが凄まじい。

ヒラヒラ星 (作詞:大華奈央香 作曲/編曲:michitomo)

ボーカロイドを彷彿とさせるエフェクトがかかった歌声を楽しめる幻想的な曲。誰か初音ミクあたりにガンガン調教させて歌わせてくれんかな。リミックス好きな自分にとっても十分にハマれる曲となっている。タイトル通りヒラヒラという浮遊感がテーマになっているっぽくて、中でも面白いのは C メロの音階が下がる転調。「Knight Flight」やこの曲を始め michitomo 氏の楽曲は転調多めだけど、この音の下がる転調が斬新で要チェキラー。

会いたくなったら (作詞:石川ゆみ 作曲/編曲:michitomo)

よくある哀愁 J-POP の曲調だけど、吉川友の低音ボーカルを楽しむならこの曲という感じ。この曲の A メロの低音っぷりは聞くところによるとハロプロ楽曲にはないレベルなようで、女性の歌声は高音が醍醐味と思う中、何をおっしゃる低音も楽しめまっせと気付いた曲。このアルバムは幅広い音域を歌いこなす吉川友の歌声が色んなエフェクトにより多角的に楽しめる作品となっていて、吉川友がますます好きになること間違いなしと強く思うのでした。


吉川友 - こんな私でよかったら